2020.11.27
家づくり情報
エコ住宅豆知識

一種換気と三種換気のコストの差

社長 伊藤明

こんにちは!

イトー工務店 代表の伊藤明です。

昨日は、換気のお話しをさせていただきました。


今日も、換気のお話しをさせて頂こうかなと思います。

 

換気の何の話をするかというと、

一種換気と三種換気のコストの差です。


家というものは、

2つ、もしくは3つのコストから

成り立っています。


1つ目はイニシャルコスト。

最初に建てるときにかかる費用です。

2つ目がメンテナンスコスト。

何年か経った時に、修理・修繕、取替などで

かかってくる費用。

3つ目がランニングコスト。

その器具を使っていくと光熱費などなど、

どれくらいかかるのか?


この3つをトータルで考えていく事が、

今の家づくりでは大切です。


住宅のあらゆる部分で、

このコスト面に対していろいろな方が、

本当に悩まれているわけですが、

今日は、一種換気と三種換気の差をご紹介します。


まず、前提として、

一種換気は、イニシャルコスト(最初にかかるコスト)が高いです。

だいたい価格帯として、30万円~80万円くらいの幅かなぁと思うのですが、

とりあえず、高いです。

逆に三種換気は、イニシャルコストとしては、

10万円かからないくらいじゃないかなぁって思います。

そうなのです。

一種と三種は価格差でいくと、

三種換気の方が圧倒的に安いわけです。


じゃぁ、三種換気じゃなくて一種換気が良いと

言われる理由の中の1つに、

熱交換機能というものがあります。


三種換気は、

寒い冬の時期に、

外の空気を冷たいまま家に入れて、

自然に家の中の温度を冷やしてしまうのに対して、

一種換気は、

「熱交換」といって、

冬の寒い空気をそのまま家の中に入れるのではなく、

排気する為に機械に吸いこんだ、家の中の温かい空気を

一種換気の機械の中で温度だけ混ぜて、

新鮮な空気を温めた状態で家の中に取り込みます。


この熱交換があると、家の中の空気の温度が冷めにくく、

光熱費の削減につながるとされているんですね。

じゃぁ、いったいどれくらいの光熱費の削減につながるのか?

(冒頭にお伝えした家にかかるコストのランニングコストの面です)


私、温熱の大先生である松尾和也先生にならい、

それについてシミュレーションしてみたので、

シミュレーション結果をつらつらと書いていくので、

途中よく分からない場合は、

どんどん飛ばして読んでいって、

太字部分だけ見ていただければ幸いですm(__)m

三種換気で抜ける冬の対流熱

空気を動かす係数を0.35W/㎡kとして、

三種換気の換気扇の流量を150㎥/hにし、

この三河地域の内外温度差(外気平均温度6.9℃)をかけて計算します。

0.35W/㎡k×150㎥/h×13.1K=687.75W

 

687.75Wが三種換気で室内から失われる熱量となります。

一種換気で抜ける冬の対流熱

同じように、換気係数を0.35W/㎡Kとして、温度差も13.1K(ケルビンと読みます)、

換気流量も150㎥/hとして計算しますが、

一つ違うのが先ほどもお話しした熱交換部分です。

熱交換率が80%という性能をもった一種換気の機械が多いので、

今回は80%を使って計算しますから、

失われる熱量は20%となります。

0.35W/㎡k×150㎥/h×13.1K=687.75W

687.75W×20%=137.55W

137.55Wが失われる熱量となります。


一種換気と三種換気の損失熱量を比較すると、

三種換気の方が、550.2Wの損失が発生するわけです。



三種換気で入ってくる夏と冬の対流熱

先ほどは冬、今度は夏の温度について見て行きましょう。

換気係数と、換気流量は変わらずに、

温度差を、外気の夏場の平均温度25.6℃、室内の設定温度24℃

として考える事にします。

三種換気ですと、

0.35W/㎡K×150㎥/h×1.6K=84W

これを一種換気で計算すると、

84W×20%=16.8W


一種換気と三種換気の熱損失の差は67.2W

三種の方が67.2Wの夏場は熱を取り込んでしまうということになります。

一種換気と三種換気の冬と夏の熱損失量の比較

次に、夏と冬の季節ごとの熱損失量の合計を出します。


一種換気と三種換気の冬場の差が

550.2W三種換気の方が多く熱を損失するということでした。

それに対して24時間をかけて、

冬場の11月~3月までの日数をかけると、

冬のシーズンの総熱損失量(Wh)が出せます。

550.2×24h×150日=1980.72kWh


次に夏場です。

夏場の差が67.2Wでしたので、

ここに24時間と7月~9月の日数をかけます。

67.2W×24h×90日=145.152kWh


それぞれ、冬の季節熱損失量が1980.72kWh、夏が145.152kWhとでました。

総熱損失量をエアコンでまかなった時の省電力は?

今度は、三種換気によって失われた熱量を、

その季節ごとでエアコンで知らない内にまかなっている

消費電力に換算して電気代として出してみます。


冬場は、三種換気の熱損失量が1980.72kWhでした。

エアコンでこの熱損失を補填するとして、

エアコンの効率(COPやAFP)を3として計算します。

1980.72kWh÷3=660.24kWh

660.24kWhに電気代の28円をかけると電気代は約18,487円となります。

これでわかるのですが、

一種換気の方が、18,487円ランニングコストが助かります。


次に同じように夏ですが、

夏の方がエアコンの効率は少し良いので、

先ほどCOPを3で計算しましたが、

夏はCOPを4で計算してよいと思います。


では計算してみます。

145.152kWh÷4×28円=1016

という事で、一種換気の方が夏場は1,016円ランニングコストが安くなります


結果、

18,487円+1,016円=19,503円

ということで、
一種換気の方が、三種換気よりも19,503円ランニングコストが安いということがわかります。

でも、イニシャルコストも考えると・・・?

夏と冬に約19,503円くらい、一種換気の方が

ランニングコストがやすくなることはわかりました。

しかし、換気扇を動かすのにも、電気代はかかるので、

一種換気と三種換気の電気代の差(一種の方が電気代がかかります)を

計算すると(計算は省きます)

夏と冬合わせて換気扇を動かすのに2,903円かかります。

そうすると、19,503円-2,903円=16,600円となり、

一種換気のほうが、純粋に16,600円のランニングコスト安となります。


さて、この一種換気ですが、

最初にお話ししましたが

30万円から80万円くらいかかると

おつたえしました。


例えば一番安い30万円だったとすると、

300,000円÷16,600円=18年

18年間で元がとれるわけです。


ここで、ん???と思う方もいると思います。

18年もこの換気扇がもつのだろうか?って。


そうなんです。

電化製品はだいたい10年から15年で買い替えとなるので、

結局、一種換気で元をとるのは、

この三河地域ではちょっと難しいわけです。

 

北海道や東北でもシミュレーションしましたが、

そのあたりだと、熱交換で元がとれます。

一種換気の本当の良さ

先ほどもお伝えした通り、

一種換気でランニングコストを安くしようとするのは、

メンテナンスコストまで考えると、

実は難しいのです。


住宅会社さんの中には、

「これを使うと電気代が安上がりですから、やった方がいいです!」

と言う方もいます。

それは、使用している時間だけの計算であって、

イニシャルコストやメンテナンスコストは入っていません。

 

なので、

コストを安くするために一種換気を取り入れるのであれば、

私自身はあまりお勧めいたしません。


でも、昨日もお伝えした通り、

室内の二酸化炭素量や、

空気をしっかりと機械でまわしてくれるという

お金以外のメリットで考えていくと、

とても優れています。


一種換気を取り入れるか、

三種換気のままで良いとするかは、

これから家づくりをされるあなた次第とは

思いますが、

一つだけ言えるのは、

コスト重視で換気を選ばない事。


水と同じように、

空気は大量に体の中に取り込みます。

その取り込む「モノ」を新鮮な状態に

しておくことが、一種換気の目的です。

この「健康」という面に共感できる方に、

是非、一種換気をお選びいただきたいと思っています。


もし、夏場の期間を増やしてみたら?

とか、冬場の温度を下げてみたら?とか、

違ったシミュレーションがしたかったら、

是非、イトー工務店までお越しください。


実際に温度などを入力してシミュレーションいたします(^^)/

▲こういうエクセルでシミュレーションしますので、

あてずっぽうではありません(笑)


また、一緒に相変わらず大人気なイトー工務店の

モデルハウスもご見学いただけたら幸いです♪


では、今日はこの辺で♪

一種換気のイトー工務店のモデルハウスに行ってみる!

まずはイトー工務店の資料を見てみる