いつ家を建てようか?
人それぞれ、家づくりのタイミングはありますよね。
結婚したから、子どもが産まれたから、二人目を授かってさすがに手狭だと思ったから、
年齢的に適齢だから、実家で親と同居することになったから、
タイミングは様々です。
今回は、そんな家づくりのタイミングについて考えていきます。
特に、家づくりに大きく番関わってくる住宅ローンの返済期間という所に視点をおいてお伝えしていきます。
住宅ローンですが、多くの金融機関の住宅ローンは最長の返済期間35年となっています。
(金融機関の中には40年返済、50年返済と言うものもあります)
定年までには、ローンを返してしまいたいということから逆算すると、30歳で家を建てれば35年で65歳。
だったら、30歳で建てるのが一般的にはベストではないか?なんていうふうに言われています。
しかし、誰もが必ず30歳で家を建てる事ができるわけではありません。
結婚のタイミング、お子さんが生まれるタイミング、家を建てよう!と考えるタイミング人、それぞれ違います。
35歳や40歳と言うことだってもちろんあるわけです。
そういう方が、住宅ローンを組む際に考えてしまうのが、やはり同じように、
「定年までには、返済が完了するようしたい」というものです。
ですから、35歳の方であれば30年返済、40歳の方だったら25年返済という期間でローンを組まれるそうです。
しかしここで考えていただきたいのですが、
住宅ローンを35年で返済をするのと、30年で返済をする、そして25年で返済をするのとを比較をしてみると、
短ければ短いほど月々の負担は増していきます。比較表を見てみてください。
例)30,000,000円 金利35年固定1.3% 元利均返済
返済年数 | 月々の返済額 | 年間の返済額 | 総返済額 |
35年 | 88,944円 | 1,067,328円 | 37,356,564円 |
30年 | 100,681円 | 1,208,172円 | 36,245,144円 |
25年 | 117,182円 | 1,406,184円 | 35,154,554円 |
月々の負担は30年返済であれば約12,000円、25年返済であれば28,000も家計負担がまします。
でもその代りに、総支払の金利差だけでみると、10年違うと約220万円、5年違うと約110万円の差がうまれることになります。
こうやって金利の差が数字としてでると、
損得勘定だけでみれば、間違いなく短期で返済する方が金利が少なくて済みます。
しかし、やはり月々1万円以上の家計の圧迫は、厳しいものがあるのではないでしょうか?
私があなたに少し考えていただきたいなぁと思っているのが、
家を建てるタイミングがいつであれ(30歳であれ、35歳であれ、40歳であれ)、
私はまずは誰でも最長の期間で組むことをお勧めします。
35年の返済で住宅ローンが組めるなら35年。
35年が無理な方でも、組むことが出来る最長期間で借り入れをしていただきたいと思います。
「金利差があるのになぜ?」
そう思われる事とおもいますが、それについて今から解説をしていきたいと思います。
まず35年で返済をする時と、25年で返済するのを比較すると、
10年の期間の差があるわけですが、先ほどの表からも読み取れるように、
ここで変わってくるのは、月々の住宅ローンの返済額と、
最終的にいくら元本と金利を支払ったかという総返済額が変わってきます。
しかし、ここで考えていただきたい事があります。
例えば、25年後にあなたが返済を完了したとしましょう。
この場合、35年返済よりも220万円分、金融機関に支払う金利が少なくなったという事になりますが、
特別、その金利の額が手元に貯金できたと言うわけではありません。
当たり前のことですが。
35年返済と、25年返済では、月々の差額が28,238円発生しています。
この差額になる金額を、35年返済よりも月々多くおく支払って使ってきていたわけです。
なので、結果シミュレーション上の数字では、
220万円の金利を支払わずに済んだのですが、月々の負担は約28,000円重たかったわけです。
要は、月々多くのお金を返済につかって、220万円のシミュレーション上の”お得感”を味わっただけなのです。
だったら、220万円のお得感を味わってるぐらいなら、手元に現金を残す方法はどうでしょうか?
というお話をさせていただきます。
25年返済で117,182円を返済するのと、
35年返済で88,944円のローン返済に加えて、28,238円を月々積立預金していくのの比較をしてみます。
積み立てている28,238円は、絶対に使わないと決めて貯蓄していくとすれば、
25年で返済も、35年で返済+積立も、
どちらのパターンも117,182円というお金が出ていくという計算になりますよね。
内容 | 結果 |
月々117,182円の住宅ローンを25年で支払う | 10年早く住宅ローンが終わって、220万円得した”気分”(手元には無い) |
月々88,944円の住宅ローンを25年で支払う 月々28,238円を積立貯金していく | あと10年住宅ローンが残っているが、 *******円の積立た現金が手元にある(さぁいくら!?) |
では、積立している28,238円を25年間貯めていくとどうなるか、計算してみましょう。
よかったらご自身でも電卓をはじいてみてください。
28,238円×12ヵ月×35年=8,471,400円
25年後には、8,471,400円の積み立てができていることになります。
返済期間 | 35年返済との総返済金利の差額 | 35年返済との月々の差額 | 予定返済期間分の貯蓄金額 |
25年 | 2,202,010円 | 28,238円 | 8,471,400円(25年間分の積立) |
30年 | 1,111,420円 | 11,737円 | 4,225,320円(30年間分の積立) |
ここから先は、人それぞれ価値観によるかもしれませんが、
あなたはこの金額に対してどう思われますか?
25年で返済して、月々約28,000円頑張ってローンの支払いをして、
手元にはまったく溜まっていないシミュレーション上のお得感を重視と、
ローンが完済したホッとした気持ちを重視するか、
それともあと10年、住宅ローンの返済は残っているけれど、
手元に約840万円というお金が貯金できていて、心とお財布にゆとりのある生活を重視するか、
どちらの生活の方が安心安全でしょうか。
その後の選択肢としても、定年を迎えたから
住宅ローンを支払っていくのは嫌だなぁと思えば、
この時点で繰上返済という選択だってできるわけです。
先ほども言いましたが、
損得勘定で言えば、金利が少なくて済む25年で返済する方が確実にお得です。
でもここで知っておいていただきたい住宅ローンのルールがあります。
住宅ローンは一旦返済が始まってから、長く返済する期間を短くするのはノーリスクなのですが、
短く返済期間を決めたのに、返済が困難になったがために伸ばすという事はNGなのです。
私は、住宅ローンの返済は、しっかりとした時間軸を考えて計画することが重要だと考えます。
例えば、もしもこの先30年、もしくは25年で住宅ローンを組んで、
あってはならないと思うのですが、リストラや倒産、
または残業ができないくらいに職場が不景気なってしまったというような状況など、
様々な収入の変化による金銭リスクを背負ったときに、
短く返済期間を組んだ住宅ローンを確実に支払っていけるかどうか、
また、突発的な車の故障や、大きな病気、いろんなリスクをこれから背負いながら生きていかなければなりません。
「まさか」と言う事態が起こった時に、お金がなくてどうにもならない・・・
その時のリスクの代償は、家を手放すという代償です。
損得勘定でものを考える時には、得な事ばかりが目に映りますが、
得があるなら、必ず損も付きまとってくるという事を知っておいてください。
そんなリスクを長期的に背負って住宅ローンを返していくよりも、
長期的な返済計画にはなるけれど、しっかりと貯蓄をして、現金を手元に置いておくことができる、
そんな住宅ローンの組み方、返済の仕方を考えて、
計画的に家づくりを考えていただくことが私は大切ではないかなと考えています。
それに、もしもお子様がいらっしゃる子育て世代のご家族だったのであれば、
いつまでお子さまが、あなたとあなたと遊んでくれるのか、考えたことありますか?
いいですか?「親が子どもと遊んであげる」ではありません。
「子どもが親と遊んでくれる」です。
よくよくご自分の昔も振り返りながら考えてみてください。
おそらく、10歳から12歳(小学校6年生)くらいではないでしょうか?
中学校に入ったら部活や塾、高校生になったら親よりも友達が大事、
高卒だったらそれからは仕事仕事の毎日、進学したとしても大学でサークルやバイト。
気づいていただけたでしょうか?
お子さまが、親と遊んでくれる時間なんて言うのは、産まれて約10年~12年間が精々です。
だったら、その時間にどれだけお子さんとの思い出がつくれるか?が大事なポイントになってくるのです。
思い出をつくるのにも、旅行や外食、レジャーなど、お金がかかります。
そこにきちんとお金を使うことができる計画的な貯蓄計画を立てて、
家族の思い出をつくることが家づくりの本来の目的を遂げる事なのではないでしょうか?
どれだけ素早くローンを返済したところで、
家族のが満足に笑顔になれないような家づくりが、本当に大切な事なのでしょうか?
また他のコラムでも紹介しましたが、
住宅ローンには団体信用生命保険と言うありがたい保険もくっついて返済をするわけです。
極端な話ですが、25年で返済するのと、35年で返済するのとを比べたときに、
まだ若い25年の間と、25年目から35年目の間と、
どちらの方が「自分にもしものことがある・・・」というリスクが高いと思いますか?
わざわざ、せっかくついているありがたい団体信用生命保険の保証期間を短くして、
返済期間を住宅ローンを組む段階から短くして(25年返済や30年返済)
住宅ローンを組むなんてことは必要なのではないかと私は考えます。
なので、先ほど定年を迎えた時点で繰上返済も・・・とお伝えしましたが、
団信がある以上は、繰上返済もしなくても良いかもしれません。
でも、忘れてはならないのは、
短く返すこととか、長く返すこととかではなく、
ご自分の家族の家計に無理の無い返済額をしっかりと割り出すということです。
いかがでしょうか?
ついつい、定年退職したら収入がなくなって、住宅ローンなんて払っていられない・・・
そんなふうに思って短く住宅ローンの返済期間を決めようとされていませんか?
もしもそう思っていたのであれば、ここで少し、
考えを違う視点からみていただきたいと思います。
また、金銭的なリスクがいつ、ご自分の家計に降りかかってくるのか?
これはライフプランシミュレーションを行って事前に予測することが可能です。
>>>ライフプランについてはこちらのコラムでお伝えしています
もしも、家づくりをしっかり考える上でのライフプランシミュレーションに興味がありましたら、
イトー工務店の、ライフプランアドバイザーの有資格者 伊藤明と中園良太にお声かけください。
あなたの安心安全の為に、将来を見据えたシミュレーションを行わせていただきます。
~他にも住宅ローンに関するコラムを伊藤明が書いています。是非お読みください。~
>>絶対に失敗しない住宅ローンの話(1)~資金計画と住宅ローン~
>>絶対に失敗しない住宅ローンの話(2)~まず事前審査を・・・!の落とし穴~