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エコ住宅に必要な7つのポイント #5 断熱を考えるpart4~断熱材編②〜

前回のおさらい

前回の断熱材の種類と厚みについてはご理解いただけたでしょうか?もしもまだ読んでいないという方は、

>>>エコ住宅7つのポイント #4断熱材を考える①

をご覧ください。

では、今回もエコ住宅7つのポイントの断熱について続きのお話をしていきたいと思います。

断熱材は、どんな種類の断熱材(何を)を使っているかだけでなく、何を何㎝使っているかが重要です。

また、前回書きました「材質の熱伝導率」の表からわかると思いますが、0.05W/mK以下に位置する断熱材の性能で「どんぐりの背比べ」をするよりも、窓に使われている、アルミを樹脂に材質変更することの方が、断熱効率を何倍もアップさせることができるのも熱伝導率を知っていると理解が深まります。

なんせ、樹脂の熱伝導率は0.2W/mKなのに対し、アルミニウムは237W/mKで、1185倍の違いがあるのですか。効果絶大なのがわかります。

 

前回もお伝えしましたが、壁の断熱材に超高性能なものを使うためにお金をつかう位なら、窓を良くするためにお金を使った方がコストパフォーマンスはかなりアップします。

また、「私たちは、〇〇と言う断熱材を使っているから暖かいです。」と言っている会社さんがもしいらっしゃったら、厚みと材質の熱伝導率から計算した熱貫流率をしっかりと聞いた上で、断熱材の性能をご自身で判断をしましょう。

決して物珍しい断熱の営業トークに影響されてはいけません。

正直、私はグラスウールと言う、一般的に超ありふれた断熱材でも、しっかりと丁寧に施工がされてあって、厚みもじゅうぶんに確保してあれば、立派に性能発揮してくれると思っています。

逆に超高性能な断熱材は壁の中に施工した時に、スカスカな隙間だらけの状態だったら、全く性能発揮する事はありません。断熱材は選ぶ材質も大事ですが、丁寧に施工がされているかどうか?がもっともっと大事なのです。

グラスウール = 悪い断熱材?

実は先ほど超ありふれた断熱材とお伝えしたグラスウールは、業界内では「壁の中で下がって性能が発揮できない」「結露が壁の中で起きて黒くカビが生える」「隙間だらけになる」などのネガティブな意見が多い断熱材です。

これは、グラスウールが悪いのではなく、正しい施工が難しい断熱材だから起きる問題なのです。
グラスウールを本当に正しく施工するには、大工さんの手間を惜しまないくらいの丁寧さが必要となり、材料費と施工費の両方を含めると、決して安くはありません。


でも、一般的にグラスウールは「安くていろいろと悪い断熱材」というレッテルが貼られてしまっています。これは、日本の建築業界でもっとも有名な断熱材なのに、正しく施工がされていないという証拠でもあります。グラスウールは決して「安くて悪い断熱材」ではなく、「そこそこ高いけど、良い断熱材」と言って良いでしょう

くりかえになりますが、断熱材は「丁寧な施工」「素材選びとしっかりとした厚み」でしっかり計画がされていることが重要です。

イトー工務店の使用している断熱材

ではイトー工務店ではどんな断熱材をつかっているかもご紹介しておきます。我々イトー工務店では、断熱材は主に現場発泡の吹付けウレタン断熱材を標準的に使っています。吹付けウレタン断熱材を標準化している理由は2つあります。


1つ目 気密性能まで確保できるということ。
吹付けウレタン断熱材は、壁や天井、屋根裏に吹きつけた瞬間からモコモコモコと膨らんで隙間を塞ぐ作用があります。この作用によって、気密の性能がしっかりと確保されて、より暖かい住宅にすることができます。(気密については別の機会にお伝えします)

2つ目 断熱材のコストバランスが良いこと。
先ほどから何回もお伝えしていますが、グラスウールは丁寧な施工が関わるため、決して安い断熱材ではありません。
実際に私たちの社内での計算によると、吹付けウレタン断熱材と丁寧に施工することを前提としたグラスウールでは、かかる金額は実はそんなに大差がありません。(それくらいグラスウールは手間がかかります)

ならば、断熱材を施工することで、気密性能まで確保できる吹付けウレタン断熱材の方がメリットが大きいので、私たちイトー工務店では、吹付けウレタン断熱材を標準仕様としています。

しかし、この吹付けウレタン断熱材に全く問題がないかと言われるとそんなことはありません。どんなものにも当然、一長一短があります。

デメリット① 管理体制が大切
この吹付けウレタン断熱材のデメリットは、現場で人の手によって施工されるので、現場で施工する作業者の腕前でクオリティや厚みが変わりかねないことが挙げられます。その対策として、私たちのように、必ず現場監督が現場で確認作業をする体制の会社でなければ、現場ごと、物件ごとにクオリティや性能が変わってしまう恐れがあります。

建築会社の中には、現場監督が現場に行かず、社内で発注作業と工程管理のお仕事をしているだけという会社さんもあります。そういう会社さんが吹付けウレタンを使うと、そういった部分で不安が残りますから要注意です。(ただし、今まで弊社でも大きな問題が起こったことはありませんが)

デメリット② 結露リスク(このリスクは常に平等)
どんな断熱材でも一緒のことが言えるのですが、断熱材を選定する際には、必ず結露リスクを回避する必要があります
外部のパネルには〇〇を使って、断熱材は□□を使って、室内の仕上がりは△△だ、という材料選びが各会社さんされていると思いますが、この材料を選ぶ時に、結露計算をきちんとしているか?ここがとっても大切です。
後々、結露計算の記事も書きますが、結露計算をせずに材料選定をされている会社さんの多くは、壁の中の結露「壁体内結露」の可能性がとても高いと言えます。この壁体内結露は、壁の中でカビを誘発したり、ひどいときは腐朽菌という建物の耐久性をむしばんでいく危険な菌を育ててしまうかもしれません。
どんな住宅でも必ず結露計算を行って、安全な住宅であるということを証明してから家づくりをしなければなりません。
「付加断熱材(外断熱材)+外部の耐震パネル+防水シート+室内のボード」
これを結露を生じさせないという一貫性をもって、材料選びをしている建築会社こそ、安全な住宅を設計していると考えてよいでしょう。

まとめ

さて、今回のことをまとめます。

今回お伝えしたかったポイントは

1.断熱材に力を入れすぎるくらいなら、窓に力を入れた方が良い

2.断熱材は丁寧な施工があってこそ力を発揮する。管理体制が重要。

3.イトー工務店では現場発泡ウレタン断熱材を使用し、メリットデメリットがある。

この3点を忘れずにチェックしておいてくださいね。

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