住宅性能は、数値だけで判断されがちですが、
実際のところは冬場の室内の快適さは断熱性能のUA値の数値によって左右されるところは多いのですが、
夏のエアコンの快適さについては、UA値の良し悪しよりも、もっと大切な事があるといえます。
(冬場もUA値だけでは光熱費を下げるには足りません)
日の光をどう冬場に取り入れて、どう夏場に遮るのか?
ここをうまく計画して設計していかないと、
どれだけUA値の値が良くても、夏暑くて冬寒い家になってしまいます。
イトー工務店では、室内環境を整えるのを、すべてエアコン等の機械でまかなうのではなく、
自然にある太陽の力をうまく活用してより省エネに暮らしていただく為の設計手法を取り入れています。
先ほど、UA値だけではいけないといった通り、この太陽の動きを素直に取り入れた設計を原則とするエコ住宅では、
冬場の昼間は無暖房でもポカポカする暖かい環境をつくりだすことができ、
逆に夏場は太陽の日射を遮り、省エネ空調で建物内を涼しくすることができます。
夏と冬の太陽の最高点の角度の違い。夏は78°冬は30°とこんなにも違います。冬はきちんと日の光を取り込んで陽だまりをつくってあげると暖房効率が上がります。
冬至と夏至の日の出の太陽が昇る方角の違い。夏だと日の出が北東になり、日の入りが北西なので、北面にも十分日が当たってくるため、夏の日射対策は必要だと考えます。
日本には四季があり、その四季ごとに太陽の動きは変わります。
日の出の方角、のぼる角度、しずむ方角など様々変わります。
冬は、日の出の方角は南東から登ってきますが、夏は北東です。
太陽が沈む角度も同様です。
太陽が頂点にくる角度も、地面を0°として、
冬は30°の高さで夏は78°の高さが最高点、その差48°もあります。
その太陽の動きに合わせて、冬は「日射取得」を重視して、たくさんの日の光をとりこみ、
夏は「日射遮蔽」の体制を万全にして日の光を遮ることができるように設計をすることが重要です。
この太陽の動きに反した設計をしてしまうと、室内の快適さを損なったり、
省エネ器具などを利用したとしても光熱費が下がらない現象につながります。
一つ目のルールが、南面に大開口の窓を設けることです。
南面に大きな窓を設けることで太陽の熱を取り込むことができます。
これを「日射取得」といいます。
南面の掃出し窓から得られる日光の熱量を計算すると、
コタツ1台分の熱を無料で得ることができる計算になります。
兵庫県明石市の松尾建築設計室の松尾和也先生が「窓はこたつである」と提唱し始めてから、
南側の大開口窓の重要性がブームを呼ぶようになりました。
南を大きな窓にすると、夏場に暑いのではないか?日が入ってきてしまうのではないか?
と疑問に思われることもありますが、
先ほど、冬と夏では太陽の一番高くなる角度が違うという事にふれたとおり、
夏の太陽光線は、南面の窓にしっかりと庇や軒をつくっておけばほとんど入ってきません。
南面の窓は大きくとって、日射取得を優先した方が空調バランスが良くなります。
南面には大きな掃き出し窓を設計し、日の光をうまく取り入れることが重要です。
南に窓がつけることができるなら、なるべく多く設計して日射効率を高めます。
二つ目のルールが、東西北面の窓は極力小さく設計することです。
窓の断熱性能は、外壁の断熱性能とは比べ物にならないくらい断熱性能が弱いものです。
これはどんな窓を使ったとしても、壁の断熱性能には実は勝てません。
せっかく壁の断熱性能をアップしたとしても、窓が大きくてはその部屋は冬寒く、
夏暑い環境となってしまいます。
南面以外の窓は、理由がなければ0.5㎡以下のものをつけることが大切です。
0.5㎡以下の窓というのは、例えば巾120cm、高さ40cmの窓ですと0.48㎡となります。
この窓から春や秋に通風をとると細い開口からスーっと気持ちの良い風を取り込むことができます。
西面は西日の影響が強く暑くなりやすいし、冬も寒さを窓からいれてしまうので、極力少なく小さくが大切
窓配置は建物のデザインにも影響しますから、デザインと暮らしの両方のバランスを考えて設計します
窓にはLow-Eガラスという遮熱・断熱作用のある金属膜をコーティングしたガラスが最近は多く使用されます。
遮熱Low-Eと断熱Low-Eの二種類に別れていて、それぞれ使い分けをして設計をしていきます。
三つ目に気を付けるのが、断熱Low-Eと遮熱Low-Eを方角によって使い分けることです。
一般的な考え方として、南面の強い日差しは遮熱Low-Eを使い、
北面は室内の温度の保温を考えて断熱Low-Eが使われることが多いようですが、
実は太陽な素直な設計になぞって窓を配置するなら、その考えは間違いです。
南面を断熱Low-E(冬の日射取得を目的)、
東西北面を遮熱Low-Eガラス(夏の日射遮蔽を目的)にすると、
窓の能力を最大限に発揮することができます。
ただし、訳あって東西北面に0.5㎡を超える大きな窓を配置する場合は、
断熱Low-Eガラスを配置することもあります。
ここは臨機応変に考えていきます。
夏の太陽の最も高い角度は78°となります。
厳しい夏の日差しを室内にどうやって入れないようにするのか、
その為に南面の軒を出して設計することが大切になります。
四つ目に気をつけることが庇などを活用して、日射遮蔽を考えることです。
最近のデザイン住宅は、軒ゼロといて軒をまったくもうけない建物が多いのですが、
デザインを重視するあまり夏の暑さに毎年苦しめられることになってしまいます。
苦しい環境をつくらないように、少なくとも軒の出を60cm以上にして設計すると良いでしょう。
また、軒が設けられない場合は、窓に庇をつけて日射を外で遮ることが大切です。
その際につける庇の出幅は、窓の高さを10として出幅を3と考えておくと良いでしょう。
他にも、窓の外に取り付けるスタイルシェードも日射遮蔽に効果的です。
屋根の軒を大きくとって、2階の部屋への太陽光を遮ります
1階の掃き出し窓にはベランダを庇代わりにしたり、屋根を設けたりします
メーカーから出されているスタイルシェードも選択肢の一つです
太陽に素直な設計は、設計する建物にだけ適応すればよいというものではありません。
そもそも太陽の光がこれから設計する建物にあたらなければ大きな窓を設けても仕方のない話しです。
これから設計する建物に太陽の光が当たるかあたらないかを確認するためにも、
五つ目に気を付けることに、周辺環境を調べて日当りシミュレーションを行う事は必須作業と言えるでしょう。
特に、東、南東、南、南西の面にどれくらいの大きさや高さの建物があるのかをシミュレーションソフトに落とし込み、
どの季節にどの面が太陽の光を浴びることができるのかを確認して太陽の光が当たる部分に窓を配置して、
それ以外のところに不用意に窓を設けないようにするのも設計ポイントです。
また、1階部分の南面にまったく日が当たらないような立地の場合は、
吹抜けを上手に活用して南面から日の光を入れる技術が必要となります。
「吹抜けは寒い」という声もありますが、それは気密性能が低く断熱性能が低い場合のみの話です。
実際に高気密高断熱住宅であれば、室内の温度の均一化をしやすかったり、
日射効率に活用できたりと、吹抜けをつくるメリットはとても大きいのです。
実際にイトー工務店モデルハウスでの検証の結果です。冬至に設定して、シミュレーションをすると、隣の建物から出ている薄いグレーが少しだけモデルハウスへ影響を与えていますね。これは、冬至になると、隣の建物が少しの時間だけ影をつくるという事です。
3Dシミュレーションで検証をするとよりわかりやすいですね。冬至の西日に差し掛かるくらいの時間に少しだけモデルハウス1階の掃き出し窓を影が覆います。逆を言えば、それ以外の時間はしっかりと日射取得ができるということもわかってきます。
長方形の建物と、凹凸のある建物とでは、
もしも同じ床面積の建物だったとしても外壁の長さが凹凸のある建物の方が大くなります。
そして、外気に触れる面積が多ければ多い程、外気の影響力が高まる為、
建物の断熱性能は低くなりますから、外壁の長さは短い方が高性能と言えるでしょう。
それに、南面に凹凸ができると、自分で自分を日陰にしてしまうような作用がうまれてしまい、
太陽の日射取得の熱効率が落ちてしまう要因になりかねません。
六つ目に注意することが、シンプルですっきりとした外観をつくりだすことも
太陽に素直な設計のポイントとなります。
イトー工務店では、
エコ住宅の快適さを実際に体感していただけるように体感型のモデルハウスをご用意しています。
モデルハウスがエアコン1台で本当に快適なのか?是非一度ご覧ください。
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