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エコ住宅に必要な7つのポイント #7 気密を考える②
前回では、気密性能を高めると建物にどんな良い影響がでてくるかをお伝えしました。
今回は、気密性能についてどうやって高い性能値を確保することができるのか?という視点で考えていきます。気密をしっかりととるには、いくつか重要なポイントがありますので、そちらを紹介していきます。
気密性能を良くするためには?
①構造を考える
まず、構造的に気密が取りやすい取りにくいということがあります。鉄骨住宅と木造住宅では、木造の方が隙間をうめやすくて気密が取りやすい構造になります。もともと鉄骨住宅は、温度を構造体に伝えやすいことから、熱くなれば膨張し、寒くなれば伸縮するという、鉄骨の伸縮等の特徴を考えられてつくられているので気密性能を高めるという点ではあまり適していないのが正直なところです。
②現場の丁寧さ
次に、現場の職人の丁寧さがあげられます。気密を確保する際にもっとも重要なのがこの部分ではないかと思います。気密性能を高めるのにもっとも重要なのが、「気密の良い住宅をつくろう」という職人さんや現場監督の意識です。少しの隙間も妥協せずに塞ぐという現場での意識がなければ、自然に気密性能が良い住宅がうまれることはありません。隙間が生まれそうな場所には、気密テープというもので予め塞いで処理をして、気密測定をしていくのですが、この処理があまいと良い数値はうまれません。
大手メーカーさんで良い数値が出にくいというのは、工場でつくられた壁の出来上がりパーツなどを組み上げているだけということも言えます。組み上げるだけの作業で、気密を取るというのは非常に難しく、逆に現場の方からすれば面倒な作業となってしまい、現行の法律で義務化されていない気密性能に手間と職人さんの人件費を割くというのは、なかなか難しいのかもしれません。
イメージとしては、工場生産品の方が精密度やクオリティが高いと思われがちですが、住宅ほどの大きさとなるとベテラン大工さんの技と丁寧な施工の方が、気密性能の確保も含めて施工品質が高いと自負しています。
③気密測定のタイミング
気密測定をいつ行うかも実は重要です。気密測定のタイミングは2回あるのですが、工事中の気密処理をし終わったあとに行う気密測定と、完成してから計測する気密測定とがあります。完成してからのみ気密測定をすると、もしも気密測定の数値が思うように出なかったときに修正ができません。完成時の気密測定は、ただ単に性能値を計測するだけで、あまり効果的なタイミングだとは言えません。
これが、工事中の気密処理完了後に測定をすれば、測定数値に満足がいかない場合は、現場でより気密性能をアップするための気密処理ができるわけです。気密測定の日は、何度でも測定者が気密測定検査をしてくれますので、もしも数値が思ったとおりでなくても、その場で原因を追求して気密処理を行うことができます。
ここで、現場の意識が現れます。
「そこそこの数値が出ればもういい」と思っている現場監督なら、そこそこの数値で計測を終えますし、「徹底的に気密性能を高める」そんな意識がある現場監督なら、徹底的に原因追求をして気密処理を行って良い数値を求めます。
④材料の選定
気密性能を取りやすい材料を選ぶというのも、気密を考える上でとても大切です。特に、壁や天井、屋根の隙間をうめるのにとても効果的な材料が吹付けのウレタン断熱材です。前回の〜断熱を考える〜でもお伝えしましたが、断熱材は本当にいろいろなものがあります。グラスウール、ネオマフォーム、硬質ウレタンフォーム、セルロースファイバー、吹付けウレタン断熱材、いろいろご紹介しましたが、その中でも、一般的に多く使われているのがグラスウールという断熱材です。
このグラスウールにも、一般のグラスウール10Kと高性能グラスウール16Kなど様々なタイプに分かれるのですが、どちらも建築業界では比較的安価に仕入れることができるということで、採用されやすいものとなっています。
このグラスウール中でも高性能グラスウール16Kと同等、もしくは少し高い断熱性能をもつ断熱材として、吹付けウレタン断熱がありますが、これが気密性能を考えたときに効果的な働きをします。吹付けウレタン断熱材は、文字通り壁に液体を吹き付けるのですが、吹き付けたウレタンの液が壁に触れるとモコモコっと膨らんできて壁と柱の隙間をうめてくる効果があります。
グラスウールで気密をとるのは非常に現場での手間が多く、しかもグラスウールは本当に現場で時間をかけて丁寧に施工していかないと、気密性能と断熱性能があっというまに落ちてしまいます。その手間(職人の人件費)を考えると、吹き付けウレタン断熱材の方が断熱性能が高く、気密性能も取りやすいため、経済的にも良い選択になると思います。
気密性能は、構造、材料選び、そして現場での意識がなければ高めることは難しいものです。しかし、前述しましたが、建築基準法で気密性能の確保が項目にないので、どうしても断熱性能に目がいってしまいがちになり、現場での手間や教育が必要な気密性能の方は、軽く見られる傾向にあるのがとても残念です。
イトー工務店のエコ住宅の実測値
前回でもお伝えしましたが、イトー工務店のエコ住宅シリーズでは目指す基準値を0.5としています。
実際に、エコ住宅を建築してきた気密性能の実測平均値は0.2となっています。
これは業界の中でもかなり高い水準です。
ここからもわかるように、会社の大きい小さいで気密性能が高い低いではないということがわかっていただけるでしょうか。
前述しましたが、気密性能はしっかりと高めようと会社の方針、現場の方針があれば、高めることは可能だということを
是非ご理解いただいて、住む人の身体にも経済的にも健康的な生活を送れる高気密住宅を目指してください。
まとめ
それでは今回、気密性能についてお伝えしたかったことをまとめます。
①気密性能が良い住宅は健康的かつ光熱費が安くなる
②気密性能は、構造や材料によって良い性能を出しやすい、出しにくいがある
③気密測定をするタイミングが重要
④「気密測定はしていますか?実測平均のデータを教えて下さい」と実測を聞く
⑤気密性能が高いのは、現場の意識と職人さんの丁寧さの証拠