2024.03.14
家づくり情報
エコ住宅豆知識

【実際の金額を公表】全館空調は光熱費が高い?その疑問を解消

社長 伊藤明

こんにちは。西尾市で高性能住宅を建てるイトー工務店の代表 伊藤明です。

高性能住宅、温熱等級、UA値、全館空調、太陽光発電、蓄電池、最近家づくりを考え始めた方は、

必ずこのあたりのエネルギーに関わるワードを見られていると思います。

おそらく、知らないという方はいらっしゃらないようにも感じるくらい、

ハウスメーカーがUA値の微々たる数値の変化を競い合ったり、

ありとあらゆる設備でゴリゴリに固めた住宅を見せられたりと、

住宅業界は今、エネルギー関係でうごめいているとも言えます。


高性能住宅の勉強を、兵庫県明石市の松尾設計室 松尾先生から学ばせていただいてからは、

UA値の数字の競い合いや、蓄電池などの設備で固めた物珍しい家ではなく、

「本当にお客様がご自身の住宅でメリットを得られる家づくり」を考えるようにしています


私たちイトー工務店は、事務所の真向かいに

モデルハウスを建てて、そこで、いろんな検証実験も行ったりして、

確実にお客様にメリットを得られる家づくりをご提案しています


今日は、そんな中で、最近とってもよくいただく質問を、

数字を交えて解消していきたいと思います。

全館空調の家の光熱費は高くなるのではないのか?

全館空調の家は家の中の全室を空調するということで、

リビングや寝室だけを空調するよりも、

電気代が多くなるのではないか?

という質問をいただきます。

確かに、ロシアとウクライナの戦争をきっかけに、

電気代が昨年の1月前後はとっても高騰していましたから、

心配になるのも無理はありません。


私としては、即答で

「そんなことありません!」とお答えするのですが、

やはり数字で実証しなければ納得はしていただけません。


そこで、今月、ようやく1年分のモデルハウスの電気代が算出できましたので、

その金額をまったくの嘘を交えずに公表してしまいたいと思います!

前提条件

前提条件として、

まずこのモデルハウスの仕様や性能と、

設備機器等をお伝えします。


イトー工務店モデルハウス

所在:愛知県西尾市(温熱の区分では6地域)

坪数:33坪

階数:2階建て

温熱性能:UA値0.39程度(温熱等級は6で高性能住宅の部類です)

気密性能:0.2(0.5以下なら超高気密と言って良いと思います)

換気方式:第三種換気

冬季空調機器:置き型エアコン ダイキン量販製品4.0キロ(14畳用)をほぼ24時間稼働

夏季空調機器:小屋裏エアコン 富士通量販製品4.0キロ(14畳用)をほぼ24時間稼働

太陽光設備:鈴与電気のゼロ円ソーラー(ゼロ円で太陽光を載せて、自家消費だけできる太陽光方式)

室内家電製品:冷蔵庫1台のみ常時稼働、モデルハウス使用時のみLED照明器具点灯


こういった仕様となっております。

ポイントは、季節ごとにエアコン1台で空調が出来ているという点と、

ゼロ円ソーラーという仕組みを活用して、

建築コストを下げながらランニングコストも下げることができているという点。


また、モデルハウスで暮らしているわけではないので、

冷蔵庫の電気代が入っているものの、

ほぼ純粋に空調費と、太陽光発電の自家消費だけの計算が可能という点が

今回の検証に信憑性をもたせてくれています。


ではこの条件下での電気代を見ていきましょう。

一昨年の12月22日以降の電気代の使用量と金額


時期使用量(kWh)支払金額(税込・円)
12月22日~1月21日23710,306
1月22日~2月21日
33412,678
2月22日~3月21日
1535,618
3月22日~4月21日
471,662
4月22日~5月21日
401,294
5月22日~6月21日
682,107
6月22日~7月21日
1524,478
7月22日~8月21日
1504,175
8月22日~9月21日
1493,972
9月22日~10月21日
852,522
10月22日~11月21日
912,679
11月22日~12月21日
1444,219
12月22日~2024年1月21日
2366,936

これが実際に電気の検針結果の実測値と、それにかかった電気料金となります。

この表を見て、いろいろな事がわかってきます。

まず、私たちの中では当たり前でも、

あまり世間で当たり前とされていないのが、

冷房の方が、暖房よりもはるかに使用電力量が少ないということです。

違う言い方をすると、夏の方が冬に比べて電気代が安いということと同じです。


多くの方が、「夏の冷房は電気代かかるものね」とおっしゃっているのを聞きますが、

私たちのように温熱と空調関係の勉強をしていると、

いえいえ、絶対に冬場の方が光熱費は高くなりますと心で思っています(笑)


この勘違いが起こりやすい理由の一つに、

夏はエアコンだけでしか空調ができないというのに対し、

冬場は、エアコン以外にもガスファンヒーターや電気カーペット、

床暖房、石油ストーブといった暖房機器が多いため、

暖房費が分散されて電気代が安く見えがちだからです。


その勘違いを正していただいて、

この表からわかることを考えていきましょう。

昨年と今年の電気代の差

この表で一番驚く点が、

昨年の12月22日~1月21日と、今年の12月22日~1月21日の使用量と電気代です。

昨年は237kWhの電気を使用して、支払金額が10,306円

今年は236kWhの電気を使用して、支払金額が6,936円

という点です。


使用量としては、1kWhの差に対して、

支払った金額が3,370円の差が出ています。

ニュースサイト等でもだいたい35%くらいの高騰と言われていますね。


実際数字にしてみると、

これくらい昨年の電気代は高かったという事に驚きますね。

この電気代の金額の差は、詳しくは触れませんが燃料費調整額と、

再エネ賦課金というものが、昨年改正があったことによります。

昨年5月頃から燃料調整費が(国の助けもあって)元に近い数字になり、

最近の電気代はだいぶ安定してきた事がこの金額差からも読み取れます。

でも、またいつ高騰するかわからないので、常に注意する必要はありますね。


この電気代の差は知っておいてほしいところです。

夏と冬の比較検討

次に、夏と冬の電気代の比較をしていこうと思います。


まずは、夏という季節の定義として、

6月から9月までの4ヶ月間と考えていきたいと思います。

冬の季節の定義は、

11月中旬から3月中旬までの4ヶ月間と考えます。


夏の電気代ですが、平均3,786円となります。

この中には、基本使用料も消費税も含まれて計算をされています。

冬の電気代は、平均8,205円となります。

季節の違いで、冬場の方が平均で5,000円高くなることがわかります。

太陽光発電の自家消費で実際はもう少し電気代自体はかかりますが、

今の時代的にみると、太陽光は光熱費を削減するのにほぼ必須案件だと思うので、

ここでは太陽光前提で考えていきます。


では、この電気代が安いのか?高いのか?という点ですが、

おそらく色んな解釈の仕方があると思いますが、

私はこの金額で24時間稼働させて全館冷暖房できるのであれば、

安いと思っています。

年間の空調費と、月の平均空調費

先ほど夏と冬の平均空調費を出し、私は安いと思うと言いました。

これは市販の一般的なエアコン、

しかも4.0キロという、

そこまで大きくない機種1台で空調が出来ているからだと思っています。

しかも、一般的な市販エアコンなので、

10年~15年後にやってくるエアコンの取替え時期には、

安く取替えができるのも大きなポイントです。

ランニングコストもイニシャルコストも安いのは、

これから家づくりをされるご家族には大きなメリットです。


さて、実際に空調費の年間合計金額も計算したいと思います。

今回、一昨年の12月~1月から今年の12月~1月までの13ヶ月間の表となっています。

高い方の一昨年を入れて12ヵ月間を計算します。


年間使用電力量
1650kWh
年間合計支払金額
55,710円
月平均使用電力量
137.5kWh
月平均支払金額
4,642円

一般的に出ているデータとして、

エアコンに使用する電力の割合が25%前後です。

2022年までの4人家族の平均電気料金が、

13,948円となっていて、

2023年の電気代に合せる必要がありますので、

2023年は平均35%の電気代高騰がありましたから、

13,948×135%=18,830円が月平均と仮定します。


この18,830円の内、25%が空調費だとすると…

18,830×25%=4,707円となります。


リビングや寝室だけを空調していて4,707円。

家の中全体を空調して4,642円。

同じ光熱費をかけるとしたら、どちらが良いでしょうか?

最後に

今回、モデルハウスの1年分の電気代を公表させていただきました。

高性能住宅を建てる事で、

ご家族が快適で、そして健康に気を付けた毎日を過ごせるのであれば、

私はこの高性能住宅を西尾市で1家族でも多くの方に建ててもらいたいと思っています。


もしも今まで電気代が気がかりで全館空調にふれて来なかったという方は、

この松尾先生が広めている松尾式の全館空調をご検討いただきたいと思います。

また、松尾式エアコン方式が実際に体感いただけるモデルハウスもありますので、

興味がわいたという方は是非ご来場ください。

ご予約はモデルハウスのページからお手続きいただけます。


最後まで読んでいただきありがとうございました。